基礎看護学研究室
基礎看護学研究室
基礎看護学とは
日本は諸外国に例をみない速さで高齢化が進行しており、団塊の世代が75歳以上となる平成37年(2025年)以降は、国民の医療・介護を必要とする人が現在より300万人以上増加し、入院患者数は2008年度の3倍以上、年間死亡患者数は1.5倍の約160万人と予想され、地域包括ケアシステムの構築が急務の課題となっている。さらに、慣れ親しんだ地で最期までその人らしく生きることを支えるには、対象の多様な医療・健康ニーズに適切に対応できる能力と、対象を全人的に理解し包括的にケアを展開できる能力を備える看護師の育成が求められている。このような時代の要請に対応すべく、保健学科基礎看護学分野では、地域(家族)の受け入れ体制の構築、看護師不足の解消および看護教育のあり方など地域包括ケアシステムの構築に対する課題に対し、教育・研究を通し積極的に取り組んでいます。
地域(家族)の受け入れ体制については、沖縄県の20歳以上の地域住民2,663名を対象とした調査の結果、経済状況の低さが親扶養意識の低さに影響を及ぼすこと、経済状況が低い状況においても地域愛着(ソーシャルキャプタル)の向上によって親扶養意識は高まることを明らかにし、地域の物理的な環境整備とともに、地域住民のネットワーク形成につながるような施策を取り入れた地域づくりの重要性を示しました。
看護師不足の解消については、沖縄県内の看護師2595名を対象に調査を行った結果、看護師の職場内信頼感(Work-place social capital)はワークファミリーコンフリクトに伴う精神健康の悪化を有意に緩衝することが明らかにし、職場内信頼感の向上に向けた取り組みを推進しています。
看護教育のあり方については、沖縄県内の看護師1470名を対象に死生観とターミナルケア態度の積極性について検討した結果,「死の恐怖」、「死の回避」および「逃避型受容」がターミナルケア態度の積極性に対して負の影響を与えること、「死の回避」は学生時代と臨床での教育や研修により改善することを明らかにし、死生観の醸成に向けた系統的に学習できる教育プログラムの構築に向けた取り組みを継続して行なっています。
教員
教員氏名:豊里 竹彦
- 職名:教授
- 学位:博士(保健学)
- 専門分野:基礎看護学、臨床看護学
- メルアド:toyosato (@med.u-ryukyu.ac.jp)
-
【研究者総覧】http://kenkyushadb.lab.u-ryukyu.ac.jp/html/100000170_ja.html?k=豊里
教員氏名:本永 久美子
- 職名:准教授
- 学位:基礎看護学
- メルアド:motonaga (@med.u-ryukyu.ac.jp)
教員氏名:眞榮城 千夏子
- 職名:講師
- 学位:修士(保健学)
- 専門分野:基礎看護学
- メルアド:mschika (@med.u-ryukyu.ac.jp)
-
【研究者総覧】http://kenkyushadb.lab.u-ryukyu.ac.jp/html/100000510_ja.html?k=眞榮城
教員氏名:渡慶次 道太
- 職名:助教
- 学位:修士(保健学)
- 専門分野:感染管理、感染対策、基礎看護学
- メルアド:tokeshi (@med.u-ryukyu.ac.jp)
-
【研究者総覧】https://kenkyushadb.lab.u-ryukyu.ac.jp/html/100002420_ja.html
教育
1年次 | 看護学概論、生活援助看護技術Ⅰ、生活援助看護実習Ⅰ |
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2年次 | フィジカルアセスメント、生活援助看護技術Ⅱ、生活援助看護実習Ⅱ |
3年次 | 看護システムと国際看護、卒業研究Ⅰ |
4年次 | 臨床看護技術の統合、統合実習、卒業研究Ⅱ |
研究
- 沖縄県の地域住民の経済状況と地域愛着が親扶養意識に及ぼす影響について
- 沖縄県の地域住民の経済状況と地域愛着が親扶養意識に及ぼす影響について
- 救急・集中治療領域の終末期における代理意思決定支援実践尺度の開発
- The moderating effect of supervisor and coworker support on the association between work-family conflict and psychological distress in nurses in Okinawa, Japan
- The moderating effect of spiritual well-being on the association between depressive state and living arrangement in the elderly in rural Okinawa
- Gender difference in the mediating effect of health-related behaviors on the relationship between neighborhood social capital and self-rated health among community dwelling people in a town of Okinawa
- 地域高齢者のスピリチュアリティがストレス認知-ストレス対処行動を介在に抑うつ傾向に及ぼす影響
- アロマテラピーを活用した認知症高齢者の日常生活動作能力、認知機能および行動・心理症状に及ぼす影響に関する実証的研究
- 高齢者の唾液中ストレス関連物質free-MHPGと精神健康との関連
社会貢献活動
学外委員会等
- 広域介護認定審査会委員
- うるま市高齢者福祉計画・第8期計画 査定委員
- 西原町地域包括支援センター及び地域密着型サービス運営協議会(副委員長)
- 日本看護科学学会若手研究推進委員会若手の会(九州・沖縄地区エリア・コーディネーター)
- 沖縄県医科学研究財団助成金審査員
研究指導
- 琉球大学病院
学外講師
- 沖縄リハビリテーション福祉学院
- 琉球大学病院
- 沖縄県臨床検査技士会:講習会「検査説明・相談ができる臨床検査技師育成」
主な卒研テーマ
- 看護職におけるワークエンゲイジメントとキャリア成熟度
- 看護職のキャリア成熟と離職との関連
- 沖縄県内のMSM(Men who have sex with men)におけるHIV検査受検の促進・阻害要因の解明を目的とした質的研究
- 沖縄県内の留学生の保健行動とソーシャルキャピタルおよびソーシャルサポートとの関連
- 終末期ケアの振り返り方法が看取り満足度に及ぼす影響
メッセージ
教育では、看護学概論や生活援助看護技術など看護の基本となる領域を担っています。看護技術の演習では、担当グループ学生がデモンストレーションを行い、さらに各グループの指導を行うなど、アクティブラーニングを取り入れています。また、フィジカルアセスメントでは、実践的なアセスメント力を養うため、シミュレーション教育を取り入れています。地域包括ケアシステムの構築に向け、地域で生活する人々の健康課題に関心が持てるよう、1年次より連携自治体の介護予防拠点での学外実習を行っています。
地域貢献として、西原町1自治体の住民および社会福祉協議会との連携により、健康講座を開催しており、地域住民が住み慣れた地域で暮らしていけるような取り組みを行っています。
基礎看護学分野では、Instagramで、看護師を目指す中高生に向けて、看護学生の日ごろの様子を投稿しています。興味のある方は、是非、ご覧ください。
Instagram @RYUDAI_KISOKAN